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ブログ 2018/05/11 17:48

ハンドメイドソーシャルワーク その4

昔認知症がある初老の患者さんと話しているときに「この世で一番早いものは、一番遅いものだ。」という言葉を聞きました。

色々と意味不明のことを仰るのは珍しいことではなかったので別段気にも留めず、「遅いものが一番早いんですか?」と気軽に訊き返す程度だったのですが。

「そうだよ。眼に見えないほど遅いものが一番早いんだ。」と何となく会話になるお返事が返って来ました。

へー、例えば何ですか?

「えーと、季節の移り変わりとか、サンゴの成長とか、子供が大人になることとかだよ。眼に見えないほど遅いものが一番早い。」

え?何それ、面白い?!と思って少し鳥肌が立ちました。

その患者さんはいつも人の話を聞いていないようでいてちゃんと聞いている人で、実は他のスタッフが私のことを仕事早いね!と褒めるのを聞いていたのでした。

「だから、あんたは遅い。」

ああ、そうかも知れませんね・・・と答えていたのは忙殺されている日々の色んなところに矛盾を感じていたからかも知れません。

目先のことをいくら焦ってしたところで、この方の言うこの世で一番遅いもの、眼に見えないもののスピードにはかなわないのかも知れないと思いました。

毎日継続される小さな成長はやがて季節のように色を変えるだろうし、小さな小さなサンゴは広大なサンゴ礁になるかも知れません。

 

で、現代に戻ります。はい、長いゴールデンウィークが終わりました。

救急以外の医療機関が動きを止める連休というものが私は一番嫌いです。はい、昔から。

何か起こったらどうやって患者さんを、もとい今は、どうやって利用者さんを守れるんだろうか?とドキドキして過ごさなければならないからです。もちろん対策は練ってはいるのですが。

そうこうしているうちに危惧していた事が起こりました。

何故だか利用者様にADLが低下する人が増えて行きました。二人、三人、四人・・・・。

わー!何で?なんで急に立位が不安定になるの?なんでこの人も立ち上がれないの?

しかし激痛などがあるわけでもなく、その他バイタルや食欲などにも異常がないので数日待っている間にGWが空けました。

空けるなり、機能訓練指導員に報告&相談です。誰をどの科に受診させるべきなのか?!何が起こっているのか?

しかし、これは一日で解決しました・・・。

何故ならば・・・。

フロアの利用者様たちがこの人の登場と共にピリッと張りつめていた雰囲気になった時点で「あれ?もしかして?」と結果がだいたい想像できたのですが。

この先生が触診したりする前から『大丈夫です!痛くありません!』と言い出す人あり。

手引きされるとしゃきしゃき歩き出す人あり。(歩けないって言ってたじゃないっ!どうして?!)

はたまたどこが痛むのかを触診されると「大丈夫!もう大丈夫だから!あいたたたた!」と叫ぶ人あり。

全然対象者じゃない人まで「ちょっと!トイレへ行きたい!」と私に手引き歩行を求めてその場から逃げようとするし、同じく対象者じゃないほとんど発語のない寡黙な利用者様まで水分補給の介助を受けながらも横目でこちらの様子をうかがって警戒しています。

”どうか今日のところはお納めくださいっ!”と皆さん非言語で訴えています。

騒然としたフロアを眺めていて思いました。「・・・・。みなさんもゴールデンウィークだったのね。」という悟りでした。

しかし、この方の出勤によってお休みは終わりました。

かくして皆さんのリハビリが再び始まりました。

この場合で言うリハビリとは生活そのもののことです。

 

ところで。

人は成長が止まったところから老化が始まります。
それは、20代から既に老化が始まっているということです。

そして老化とともに、筋肉の使い方を忘れていき、筋肉の反発力を出すことができなくなります。

それはそれで良いじゃないか。楽に生きようよという考え方もあります。何だか一聞すると優しい考え方のような気がします。

機能訓練に限らず、目的は何でも良いんですけど、現状よりも高みを目指すとか、あるいは維持して行こうとすればどうしてもそこには負荷が必要になります。

負荷と成長は完全繋がっているし高齢になれば負荷と維持はしっかりと繋がっています。

そりゃあ苦しくて泣きたいほどの負荷ではありませんが毎日ほんの少しの負荷が必要だということが何事にも言えるんですよね。もしかしたら人生や仕事・プライベートにも。

私の周りにはあまり居ませんが、たまに出会うのが「なりたい自分像」の理想は一丁前に高いのに、負荷からは逃げまわってる人が居ます。

走ったり汗かいたり運動はしたくない。筋肉痛になる覚悟や努力はしないけど、誰もが羨む筋肉を身につけたいと思っている人。

勉強はしたくないけど東大行きたいとか、働きたくないけど大金持ちになりたいとか、相手の事は一切考えたくないけどみんなから好かれたいと言ってる人も同じ思考パターンの人。

でも、人は弱い生き物なのでもちろん負荷は大嫌い。

そんな時、その負荷を加減してトレーナーになってくれる人、ペーシングしてくれる存在がいたらどんなに頼もしいでしょうか。

その昔、”一番遅いものが一番早い”と教えてくれた患者さんがいました。

今はこう思います。鬼になれるほど優しいって究極だなと。

ええ、私なんぞ比較的すぐに手を出してしまいますが。。。実はそれにも持論と根拠があるのですが、長くなったのでまたいつか機会があれば聞いて下さい。

今日も沓掛では一生懸命生きている人々の姿が見られています。スタッフも利用者様も、みんなみんな出来ることを、少しの負荷と共に遂行しています。

生きて行くこと、生活すること、何かを努力することって、かっこいいなあーーー!とスタッフや利用者様を畏怖の念すら抱いて見つめる毎日です。

そして努力したことってその時は必死でも、後から振り返ると凄く面白い話になったりもしますので。

とにかく利用者様や職員の笑い声が絶えません。(*^_^*)

                                          看護主任 尾崎

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